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ハイジ
HEIDI

2006年7月15日(土)より恵比寿ガーデンシネマ他全国順次公開

 

 

     
■ストーリー
赤ちゃんのころに両親を亡くし、孤児になってしまったハイジ(エマ・ボルジャー)。母の妹のデーテ叔母さん(ポーリン・マクリン)に引き取られた彼女は、不幸な境遇にも負けず、明るく活発な少女に成長した。 やがて、デーテがフランクフルトへ働きに出ることになったため、ハイジは父方の祖父に預けられることになる。
祖父のアルムおんじ(マックス・フォン・シドー)は、アルプスの山奥の小屋で、ひとりで暮らしている変わり者。デーテとハイジが何の前触れもなく訪ねて来たことに怒った彼は、ふたりを追い返そうとする。しかし、途方に暮れるハイジの姿を見た彼は、ハイジを小屋の中に招き入れる。祖父が、優しい人間であることを感じ取ったハイジは、安心して眠りについた。  
ハイジのアルプスでの生活が始まった。昼間は、山羊飼いのペーター(サミュエル・フレンド)と一緒に放牧場へ出かけ、夜は、祖父のチーズ作りを手伝う日々。大自然と触れ合う生活が、ハイジには楽しくて仕方がない。そして、そんなハイジとの暮らしは、いつしかアルムおんじにとっても、かけがえのないものになっていった。  
雪解けと共にめぐってきた春、デーテ叔母さんが再び小屋にやって来た。フランクフルトに住む足の不自由な少女の遊び相手として、ハイジを連れ帰るために。アルムは大反対だが、仕方なくハイジを手放すことに同意する。
   
 





キャスト
エマ・ボルジャー(ハイジ)
マックス・フォン・シドー(アルムおんじ)
ジェラルディン・チャップリン(ロッテンマイヤー夫人)
ポーリン・マクリン(デーテ叔母さん)
ダイアナ・リグ(ゼーゼマン夫人)
ロバート・バサースト(ゼーゼマン氏)
ジェシカ・クラリッジ(クララ)
サミュエル・フレンド(ペーター)


     

フランクフルトへ到着したハイジが連れて行かれたのは、ゼーゼマン家の屋敷。屋敷を仕切っているのは、執事のロッテンマイヤー夫人(ジュラルディン・チャップリン)。彼女は、ハイジがデーテから聞かされていたよりも幼く、教養もないことに腹を立てるが、遊び相手を求めていたクララ(ジェシカ・クラリッジ)がハイジを気に入ったことから、ハイジは、しばらくゼーゼマン家で暮らすことになった。

ハイジとクララは、すぐに姉妹のように仲良くなったが、アルプスでのびのびと暮らしてきたハイジと、規律を重んじる厳格なロッテンマイヤー夫人の関係は、日を追うごとに悪くなる。ある日、ペーターのおばあさんにあげようと思って大切にとっておいた白パンを、ロッテンマイヤー夫人に捨てさせられたとき、ハイジの目からは涙がこぼれた。
ハイジは辛い日々の中で、しだいに食べ物も喉に通らなくなってしまう。そんな彼女に医師は、病気を治すには祖父のもとに帰すしかないと診断を下す。ハイジはようやくアルプスに帰れることになった。

クララと再会を約束し、アルプスへ戻ったハイジは、さっそくペーターの家を訪ね、おばあさんに柔らかな白パンをプレゼントした。おばあさんは、ハイジが戻ってきたことに嬉し涙を光らせる。しかし、アルムの態度は違っていた。ハイジが去って以来、すさんだ生活を送っていた彼は、せっかく戻ってきたハイジを小屋から閉め出してしまった。そんな冷たい仕打ちを受けてもなお、ハイジの祖父に対する愛は変わらなかった。心配して訪ねてきたペーターに、ハイジは言う。「私がおじいさんを傷つけてしまったの。何があっても出て行くんじゃなかったわ」。
  その言葉を耳にしたアルムおんじは、自分が間違っていたことを悟る。彼は、ハイジを家に入れてやると、「ありがとう。出て行ってごめんね」と言うハイジをしっかりと両腕に抱きしめた。

もうぜったいにハイジを放さない。そう誓ったアルムおんじは、ハイジが他の子供たちと同じように学校へ通えるように、冬の間だけ、ずっと昔に住んでいた村の家に移ろうと決意する。それを知った村の人々は、アルムおんじとハイジを心から歓迎した。
  夏。ハイジとアルムおんじの山小屋に、嬉しい訪問者が現れた。ゼーゼマン夫人とクラッセン先生の付き添いで、クララがやって来たのだ。ハイジと再会できたことに加え、夏のあいだ山小屋で暮らす許可をもらい、クララは大喜びだ。が、その様子を見たペーターは、クララにハイジを取られてしまうと感じ、嫉妬にかられる。
  ペーターが、山道に止めてあったクララの車椅子を谷底へ転落させる事件を起こしたのは、その嫉妬心からだった。あわてて車椅子を追いかけ、自分も谷底に落ちそうになってしまうハイジ・・・

 

 
     

■プロダクション・ノート

映画化にいたるまで  チューリッヒの医師の娘として生まれたヨハンナ・スピリが、1880年と1881年に発表したハイジの物語は、世界各国でたびたび映画化されている。しかし、イギリスでは、74年のBBCのTVドラマをのぞき、正式に映画化されたことが一度もなかった。そのことに驚いたプロデューサーのマーティン・オーティは、自身の手で映画化しようと決断。ブライアン・フィンチに、脚色を依頼した。「私は、ハイジの年頃の子供が大好きなんだ」と、自身も孫を持つフィンチは語る。「それに、ハイジはひじょうに魅力的で勇敢なキャラクターなので、とても描きやすかった」。  次にオーティは、監督として、「コナン・ドイルの事件簿」や「第一容疑者」といったサスペンス・シリーズのヒット作で知られるポール・マーカスに、白羽の矢を立てた。彼を選んだ理由は、「ポールは俳優出身で、父親が劇作家、母親が女優という演劇一家で育っている。キャラクターと演技が重視されるこの作品には、彼のような監督が必要だと感じたんだ」。  10歳と14歳になるふたりの娘を持つマーカスは、つねにポジティブな視点を失わないハイジの物語が、国や文化を超えてより親しみやすいストーリーになるように、心を配ったという。マーカスは語る。「我々の映画では、ハイジは、より自由意志を持つキャラクターになった。彼女自身の自発的な意志によって、人々の生活に光をもたらすような資質をハイジに与えたんだ」。

ロケーション
・ジュリア・アルプスに位置するスロベニアのリゾート地、クランスカ・ゴーラ
・デルフリ村の場面はクランスカ・ゴーラ近郊のラテチェ
・フランクフルトの場面はスロベニアの首都リュブリャナ
・ゼーゼマン邸の屋内のシーンは、ウェールズのカーマーセンシャー州の町スラネリにあるストラディ・キャッスル
・ウェールズ、カーマーセンの近くにあるグウィリー蒸気鉄道、
・ニースの近くの森林地帯など

   
     


ポール・マーカス(監督)
ヘレン・ミレン主演の犯罪サスペンス・ドラマ「第一容疑者」シリーズの製作。
映画は、ブリジット・フォンダ&キーファー・サザーランド主演のサスペンス『赤い標的 THE BREAK UP』(98)、『霊視』(99)

エマ・ボルジャー(ハイジ)
1996年アイルランドのダブリン生まれ。7歳のとき、姉のサラと共にジム・シェリダン監督の『イン・アメリカ/三つの小さな願いごと』(02)に出演。コリン・ファレル主演の『ダブリン上等』(03)に出演。アイルランドのTVシリーズ「Proof」(04)

マックス・フォン・シドー(アルムおんじ)
1929年4月10日、スウェーデン生まれ。王立ドラマーテン劇場付属俳優学校で学んだのち、舞台に出演。マルメ市立劇場に在籍中、イングマル・ベルイマンと出会い、『第七の封印』(56)をはじめとする数々のベルイマン作品に出演。国際的に名前が知られるようになる。65年には、『偉大な生涯の物語』でハリウッドに進出。『ハワイ』(66)。『マイノリティ・レポート』(02)、、『砂の惑星』(84)、『さすらいの航海』(76)、『コンドル』(75)などがある。

ジェラルディン・チャップリン(ロッテンマイヤー夫人)
1944年7月31日、米カリフォルニア州サンタモニカ生まれ。チャールズ・チャップリンを父に持つ。8歳のとき、父が監督した『ライムライト』(52)で映画デビュー。その後は、ロンドンのロイヤル・バレエ団でバレリーナの道を歩んでいたが、ジャック・ドレー監督の『ある晴れた朝突然に』(64)に出演したことをきっかけに、本格的に女優に転身。デヴィッド・リーン監督の『ドクトル・ジバゴ』(65)でゴールデン・グローブ賞の新人賞にノミネート。以降、本作までに100本近い映画・TVに出演。

   
       




 


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アニメでは泣いた記憶はないけれど、このハイジはとにかく泣けるし笑える。リアルな人間だからこそ心の表情が伝わってくるようだ。 日本アニメのハイジは、強くたくましいイメージをもっているが、エマ・ポルジャー演ずるハイジは、繊細で傷つきやすく、無理のないふつうの少女として伝わってくる。 また、マックス・フォン・シドーのおじいさん役も深みがある。どこかで観た記憶があるなと思えば、「偉大な生涯の物語」のイエス役である。 アニメからは想像できなかった、良い子イメージの向こう側にあるものが観えた気がする。 (JS)




スタッフ
監督:ポール・マーカス
原作者:ヨハンナ・スピリ
脚本:ブライアン・フィンチ
撮影監督:ピーター・シンクレア
音楽:ジョスリン・プーク
         
       


オフィシャルサイト
http://www.heidi-movie.jp

原題 HEIDI/2005 イギリス映画/104分
/ビスタ/SR,DIGITAL/カラー
協力:ポニーキャニオン 
後援:ブリティッシュ・カウンシル
提供・配給:ギャガコミュニケーションズ Gシネマグループ
宣伝:ギャガ宣伝(春)×(夏)
(C)Surefire 3 Film Production LLP 2005