あるいは裏切りという名の犬

2006年12月16日(土)より銀座テアトルシネマ ほか全国ロードショー

■story
シテ島オルフェーヴル河岸36番地のパリ警視庁に、二人の警視がいた。一人はBRI(探索出動班)所属、 部下からの人望厚く正義感溢れるレオ・ヴリンクス警視。もう一人はBRB (強盗鎮圧班)所属、権力志向の強いドニ・クラン警視。 かつて親友だった二人は、同じ女性カミーユを愛した。しかし彼女はレオと結婚。以来二人の友人関係は崩れ、 今では誰もが認める宿敵となり、お互いが従える部署も対立していた。そんな折、ロベール・マンシーニ長官の昇進が決まり、 次期長官候補として二人の名が挙げられる。

パリでは現金輸送車強奪事件が多発。特別体制が取られる。 長官が指揮官に任命したのはレオだった。彼は自分の後任にはレオが相応しいと考えていた。しかしどうしても事件の指揮を執りたいドニは、 計画への参加を長官に直訴。長官はレオの指令の下に動くことを条件に許可をする。

レオにかつての情報屋シリアンから連絡が入る。 投獄中の彼は2週間後の出所を前に特別外泊をしていた。シリアンから得た情報を基に犯人を洗い、綿密な計画を立てるレオ。 レオの指揮下、アジトを取り囲み、慎重に現行犯逮捕の機会を伺う警察。しかし、ドニが単独でアジトへと向かう・・・。




 


■キャスト
レオ・ヴリンクス警視/ダニエル・オートゥイユ
ドニ・クラン警視/ジェラール・ドパルデュー
カミーユ・ヴリンクス/ヴァレリア・ゴリノ
ロベール・マンシーニ/アンドレ・デュソリエ
ユゴー・シリアン/ロシュディ・ゼム
エディ・ヴァランス/ダニエル・デュヴァル
マヌー・ベルリネール/ミレーヌ・ドモンジョ
 





■プロダクションノート オリヴィエ・マルシャル監督 インタビューより
Q.警官の生活とは?
刑事は家で仕事の話はしません。職業的な理由もありますが、見たことやったことを早く忘れたいためでもあります。レオは、真実を突き止め犯人を探し出すまでは、世界の果てまで行く人間です。彼は古い世代の刑事ですが、捜査手法はあまりオーソドクスではない。刑事はみなそれぞれ過去の事件の記憶に悩まされています。レオの場合、死体と悪夢に染まっています。強盗段対策をやる前、レオは殺人犯担当班のボスで、後遺症が残っています。ダニエル・オートゥイユは役作りのためにこうした情報も得て演じています。

Q.ドパルデューのこのような演技は長く見てないように思いますが?
ジェラールは、本能で演じる動物的な俳優です。彼はゲップもするし、ホラを吹くし、笑い、ふざけ、暴言を吐くんです。そして、役作りあるいは場面に求められるものの本質にたどり着くまで、監督の「肝臓に食い込んでくる」のです。ダニエルはより知的、彼は、深く静かに仕事をします。脚本を読み、10数回にわたって読み直し、刑事について嫌というほど私と話し、実際に多くの刑事に会い、36番地の河岸沿いをたっぷり歩きました。彼は彼の行程を行き、アイデアをいっぱい頭に詰めてセットへやってきます。
 

 


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実話にもとづくストーリーが、リアリティを感じさせる。80年代、「ロワゾー事件」と呼ばれるフランスを騒然とさせたスキャンダラスな事件があった。今回、共同脚本として協力したもと警察官のドミニク・ロワゾーは、86年に投獄され外部との接触を絶たれた。その後、ミッテラン大統領の恩赦で93年に釈放され、彼の話は「監獄の無実の警官」として出版されている。この作品はこの実話がベースとなっている。80年に警察官として働きはじめたオリヴィエ・マルシャル監督は、彼は尊敬すべき先輩であったという。真相を明らかにしたいという監督の熱意がこの作品をより緻密にしているのではないかと思う。(JS)







■監督:オリヴィエ・マルシャル

1958年南フランス生まれ。80年ヴェルサイユの重犯罪刑務所に配属。夜警として勤務する側、コンセルヴァトワールの演劇コースを受講。『アラン・ドロン/私刑刑事』(80)で映画初出演。2001年に犯罪映画「ギャングスター」で長篇監督。セザール賞の作品賞、監督賞、脚本賞にノミネートされる。

■スタッフ
監督:オリヴィエ・マルシャル
製作:シリル・コルボー=ジュスタン
 ジャン=バティスト・デュポン
 フランク・コロー
脚本:オリヴィエ・マルシャル
 フランク・マンクーゾ
 ジュリアン・ラブノー
共同脚本:ドミニク・ロワゾー
音楽:エルワン・ケルモルヴァン
 アクセル・ルノワール
演出:フレデリック・テリエ
撮影:ドニ・ルダン
美術:アンブル・フェルナンデーズ
衣装:ナタリー・デュ・ロスコア
製作総指揮:ユーグ・ダルモア

     




   


■オフィシャルサイト
www.eiga.com

2004年フランス/110分/カラー/スコープサイズ/ドルビーSRD
原題:36 Quai des Orfevres/フランス語
日本語字幕:松浦並美奈
オリジナルサウンドトラック:ビクターエンタテイメント
配給:アスミック・エース