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パンズ・ラビリンス
PAN'S LABYRINTH

10月6日(土)、恵比寿ガーデンシネマ他にて全国ロードショー


■ストーリー
1944年のスペイン。内戦終結後もゲリラたちはフランコ将軍の圧制に反発。山奥では、戦いが繰り広げられていた。
内戦で父を亡くしたオフェリア。臨月を迎えた母親カルメンとともに、山奥へと向かっていた。母はこの山奥の駐屯地に就く冷酷な独裁主義のビダル大尉と再婚したからだ。 恐ろしい義父から逃れたいと願う彼女は、ある夜、旅の途中で見つけた昆虫に語りかけると、妖精に姿を変え、謎めいた迷宮に誘い出す。

オフェリアを待っていたのは、迷宮の守護神“パン”(牧神)。パンは「あなたは、捜し続けていた魔法の王国のプリンセス、モアナの生まれ変わりに違いない」と明かし、その真偽を確かめるため、オフェリアに3つの試練を与えるのだった。オフェリアは彼にもらった「道を標す本」を開き、3つの試練に立ち向かうことに。

 

 


■キャスト
オフェリア/イバナ・バケロ
ビダル/セルジ・ロペス
メルセデス/マリベル・ヴェルドゥ
パン、ベイルマン/ダグ・ジョーンズ
カルメン/アリアドナ・ヒル
フェレイロ医師/アレックス・アングロ
ペドロ/ロジャー・カサメジャー
カザレス/フレデリコ・ルビ
ガルセス/マヌエル・ソロ
 


       


最初の試練は、死にかけている巨木を救い、花を咲かせること。オフェリアは母がパーティのために用意してくれたドレスを泥だらけにしながら、どうにか成功する。母はそのドレスを見て叱るが、オフェリアは試練を1つ越えたことに喜びを隠せない。
彼女は、ひとり、次の試練に向かおうと本を開くと、みるみるうちに本が真っ赤に染まっていく。母を失うかもしれないと震えるオフェリアに、パンは不思議な植物を差し出す。それは人間になることを夢見ている植物マンドラゴラ(マンドレイク)の根で、新鮮な牛乳と2滴の血液を浸し、母のベッドの下に置けばいいという・・・

※   ※   ※

■プロダクション・ノートより

パン<牧神>の神話
古代ギリシャの神“パン”(ローマ神話のファウヌスと同等)は、一般的に繁殖と全宇宙の神とされているが、それ以前は牧夫と羊の群れの神とされていた。
  “パン”というのは道徳観念に関係なく善悪を包括する「すべて」という意味があり、本質的には創造と破壊を生み出す中立者である。ヘルメスとニンフのドリュオプスの間に生まれるが、山羊の脚と角を持って生まれた姿が怪物のように見られたことから母親に捨てられ、父親のヘルメスがオリンポスのもとへ連れて行き、神の称号を与えられたと伝えられている。


       
 





       


作品の着想 ギレルモ・デル・トロ監督
『パンズ・ラビリンス』はフランコ将軍の軍事政権下が舞台であり、ファシズムが根底にある。しかし僕は観客が考える余地のある映画が好きなので、ファシズムを直接的に描かず、暗号的に匂わせている。
僕にとってファシズムは究極の恐怖を象徴している。だから、大人のためのおとぎ話を描き出すにはまさに理想的な題材だった。
というのも、ファシズムは純潔の曲解であり、子供時代に繋がると考えるからだ。
僕にとってのファシズムというのは魂の死を意味し、辛い選択とファシズムを生きた人の心の奥深くに、消すことのできない印を刻み込むことを強いるものなんだ。

 
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スペイン内戦末期、フランコ軍とゲリラとの戦いが進行するなか、地底の王国の魂を宿していると告げられた少女が試練を乗り越えていくというファンタジー。
フランコ軍の大尉の行動があまりにも残虐なため、目を覆いたくなるシーンもあるので、12歳以下には見せたくない大人向けのファンタジー作品。
監督のギレルモ・デル・トロは、子供時代からファンタジーとゴシックホラーに傾倒していたというので、この作品はそれが見事に結実したものと思われます。多数の賞を受賞していることからも、力の入りかたがうかがえます。意味深い結末も見所です。 (JS)








■監督:ギレルモ・デル・トロ
1964年メキシコ、タグアダラハ出身。8歳のときにスーパー8を使って短編を撮り始める。特殊メイクのディック・スミスのクラスを受講。自身の会社ネクロピア社でTVシリーズ「ハリウッド・ナイトメア」を手がける。92年『クロノス』を監督し、カンヌ国際映画祭で批評家賞受賞。97年、SFホラー『ミミック』を監督。ほかに、『デビルズ・バックボーン』(01)、『ブレイド2』(02)、『ヘルボーイ』などを監督。


■スタッフ
監督:ギレルモ・デル・トロ
脚本:ギレルモ・デル・トロ
プロデューサー:ギレルモ・デル・トロ /ベルタ・ナバロ /アルフォンソ・キュアロン/フリーダ・トレスブランコ /アルバロ・アウグスティン

撮影:ギレルモ・ナバロ
編集:ベルナ・ヒラプラナ
美術:エウヘニオ・カバレロ
音楽:ハビエル・ナバレテ
音響:マルティン・エルナンデス
特殊効果:カフェFX
特殊メイクアップ:ダビド・マルティ/モンセ・リベ


     

 

 

   


■オフィシャルサイト
http://www.panslabyrinth.jp/

(C)2006 ESTUDIOS PICASSO,TEQUILA GANG Y ESPERANTO FILMOJ

■第79回アカデミー賞 3部門受賞
  撮影賞、美術賞、メイクアップ賞
■第21回スペイン・ゴヤ賞 7部門受賞
  脚本賞、新人女優賞(イバナ・バケロ)、撮影賞、特殊効果賞、編集賞、音響賞、ヘアメイク賞
■第41回全米批評家協会賞 最優秀作品賞 受賞
 ほか多数受賞

2006/メキシコ、スペイン/ヴィスタ/SR-D/119分/PG-12/
字幕翻訳:松浦美奈
提供:CKエンタテインメント、アミューズソフトエンタテインメント
配給:CKエンタテインメント[Cubical]