ダイアナの選択
THE LIFE BEFORE HER EYES

2009年3月14日、シネスイッチ銀座ほか、全国順次ロードショー


■ストーリー
　コネチカット州郊外のスモールタウン、ブライアー・ヒル。ダイアナは地元のヒルヴュー高校に通う17歳。シングルマザーの母親と暮らすダイアナは、生活に追われるだけの人生に嫌気がさし、トラブルメーカーとして反抗的な高校生活を送っていた。
　 ある日、ロッカールームでタバコを吸っていたダイアナに、クラスメイトのモーリーンが、先生が見回りに来ることを教えてくれた。モーリーンは、毎週日曜日の礼拝を欠かさない品行方正な少女。麻薬の売人とつきあっているダイアナと違い、内気な女の子だった。2人はなぜか気が合い、すぐに何でも打ち明けあう仲になった。
　 夏休み、留守中の家にこっそり忍び込み、プールで泳ぐダイアナとモーリーン。ときにはダイアナのだらしない交友関係をめぐり、2人の仲が険悪になることもあったが、モーリーンの歩み寄りにより友情の絆はさらに堅固になったように思えた。

 

　そんなある日、授業開始の前に、2人は、トイレに入って他愛ないお喋りをしていた。少し前に恋人と別れたダイアナは、生物の先生に進められて講演に聞きに行った哲学教授、ポール・マクフィーに思いを寄せていた。「未来の自分をイメージすることで、現在を前向きに生きられる」。講演で聞いたポールの言葉に感銘を受け、自分の人生にも無限の可能性があることに気づいたダイアナは、手始めにポールに連絡を取ることから新しい人生をスタートさせようとしていた。お互いの恋の進展に思いをはせているふたりに、遠くから叫び声と、銃声が鳴り響く。
　 発砲しているのは、クラスメイトのマイケルだった。2人の前についについに銃をもったマイケルが現れる・・・

　ブライアー・ヒルの閑静な住宅街。ダイアナは大学教授の夫ポールと共に幸福な家庭を築いている。子供は、小学校に通う娘のエマがひとり。かつての自分に似て反抗的なところがあるエマに、ダイアナは少々手を焼いていたが、子育ては美術教師の仕事と同様に生きがいを感じさせてくれるものだった。
　 しかし、その充実した日々にあっても、15年前の銃乱射事件の光景はダイアナの心に暗い影を落としていた。ジョギングをしていても、料理をしていても、ふと心に浮かんでくるのは、あの17歳の日の選択。自分がモーリーンの手を離してしまった一瞬の悪夢を思い返しては、「わたしに生きる資格がない」と、涙で頬をぬらすのだった・・・

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■プロダクション・ノートより

ヴァディム・パールマン監督にとっての『ダイアナの選択』は、ローラ・カジシュキーの原作を読んだことから始まった。「全編が少女についての歌のようで、読んでいるとまるで魔法にかかったようでした。ローラは詩人で、この作品は彼女の散文のようです」。しかし、このスタイルは映画化の際の難題となる。「わかりやすいプロットや平凡な物語ではありません。夢のような作品です。しかし、そこに魅力を感じこの作品の映画化に挑戦することにしたのです。原作者ローラ・カジシュキーによると、これは夢や想像の物語です。想像上の狂喜や苦悩、夢の一部を表現しました」。
パールマンは映画に独自のロジックを取り入れようとした。「この映画では全体的に、はっきりとした因果関係に基づいて物事が並べられているわけではありません。あえて、シーンごとの感情を、ほとんど情報無しに繰り返し表現しています。・・・」パールマンは、情報を控えめにい、しかし繰り返し出す効果として、カジシュキーの小説を読んだ読者が感じるのと同じような完成度を、映画を見たものが味わえると考えた。

■監督：ヴァディム・パールマン
1963年、ウクライナ生まれ。ＣＭ監督として成功し、『砂と霧の家』（2003）で、長編映画デビュー。

■原作：ローラ・カジシュキー
ミシガン大学で修士号を取得。6冊の詩集と本作を含め3冊の小説を発表している。ボブスト新人賞、ブシュカート賞、アメリカ詩人協会のアリス・フェイ・ディカスタニョーラ賞などを受賞。


■スタッフ
監督：ヴァディム・パールマン
原作：ローラ・カジシュキー
脚本：エミール・スターン
撮影：パヴェル・エデルマン
美術：マイア・ジェイヴァン
衣装：ハラ・バーメット
音楽：ジェームズ・ホーナー