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インサイド・ルーウィン・デイヴィス 
名もなき男の歌


Inside Llewyn Davis

2014年5月、TOHOシネマズ シャンテ他全国公開


■ストーリー
 グリニッジ・ヴィレッジにあるコーヒーハウス、ガスライト・カフェで、ひとりのフォーク・シンガーが歌っていた。彼の名はルーウィン・デイヴィス。ステージを終えたルーウェインは、ガスライトのオーナーのパッピから友人が待っていると言われて外へ出る。するとそこには見知らぬ男が待ち伏せていて、いきなり殴り掛かってきた。叩きのめされたルーウィンの意識は次第に遠のいていく……。

 目が覚めるとルーウィンはベッドに横になっていた。大学教授のゴーファイン夫妻が住むマンション。ルーウィンはメモを残して部屋を出るが、住む場所がないルーウィンは、ミュージシャン仲間のカップル、ジーンとジムのアパートを訪ねるが、ジーンはルーウィンに腹を立てていた。ルーウィンと浮気をしたジーンは妊娠してしまったのだ。
中絶のための手術費を用意することを約束したもののルーウィンは一文無し。レコード会社に出かけて、やっとのことで印税として40ドルを手に入れる。


 

 


■キャスト
オスカー・アイザック、キャリー・ マリガン
ジョン・グッドマン、ギャレット・ヘドランド
ジャスティン・ティンバーレイク
 




       

 

 そんな時、ジムから仕事の誘いがあった。それはルーウィンが軽蔑する軽薄なポップ・ソングのレコーディングだったが背に腹はかえられない。ジムはミュージシャンとして成功するために努力をしていたが、フォーク・ソングを愛するルーウィンは自分の信念を曲げず、そのおかげで住む場所もない貧しい生活を送っていた。そんなルーウィンを、ジーンは容赦なく「負け犬!」と罵った。

 ゴーファイン夫妻のもとを訪れたルーウィン。そこで夫妻の客の前で歌うように頼まれた彼は、ついに感情を爆発させてしまう。「俺は生活のために歌っている、遊びじゃないんだ!」。苦しくても歌にしがみついているルーウィンには、かつて一緒に歌っていたパートナーを失った悲しい過去があった。八方塞がりのルーウィンは、街を出ることを決意。

 ジャズ・ミュージシャンのローランド・ターナーと付き人のジョニー・ファイヴとガソリン代を分け合って車でシカゴへと向かった。しかし、2人とはまったく話が合わず、挙げ句の果てにターナーは薬物中毒で倒れてしまい旅は悪夢のような結果に。それでもシカゴに辿り着いたルーウィンは、有名なプロデューサー、バド・グロスマンのオーディションを受けることにする。ルーウィンの歌を聴いたグロスマンは、ヒゲを剃って身ぎれいにすることを条件に、いま彼が企画している新しい男女ユニットに入らないかと提案するがルーウィンは断った。やはり彼は、成功と引き換えに信念を曲げることはできなかったのだ……。


※   ※   ※

 

       
 






       

■プロダクション・ノートより

ボブ・ディランが憧れたデイヴ・ヴァン・ロンクとは?

フォーク・ミュージックをこよなく愛し、音楽にすべてを捧げるルーウィン・デイヴィス。そのモデルになったのは、実在したフォーク・シンガー、デイヴ・ヴァン・ロンクだ。ロンクは1936年にNYのブルックリンに生まれ、歌手デビューする前に船員として働いていたことは映画にも反映されている。
1959年にデビュー・アルバム『Ballad, Blues, and a Spiritual』を発表したロンクは、やがてグリニッジ・ヴィレッジのフォーク・シーンの中心的な存在になっていく。ロンクは誰も知らない古い歌を見つけてきて、その枯れた歌声とフィンガー・ピッキング・スタイルのギター奏法で披露した。
美しい歌声で品良くフォーク・ソングを聴かせる若者達に比べて、ロンクは土の匂いがする“本物の”アメリカン・ミュージックを追求した。
そんなロンクは後輩のシンガー達から慕われたが、そのなかにボブ・ディランもいた。ディランはギターや歌い方についてはもちろん、服の着こなしから立ち振る舞いまでをロンクから学んだが、ロンクの妻が無名時代のディランのマネージメントをするなど、ロンクなしにはディランの成功はなかった。
映画のラストにはディランがこれまで一度もレコードに収録したことがなかった未発表曲「フェアウェル」が流れるが、ディランがこの曲を映画に使用すること許したのは、ロンクに対する感謝の気持ちだったのかもしれない。

1961年という時代背景

音楽をテーマにした映画は数多く作られてきたが、本作がユニークなのは、これまで映画ではほとんど紹介されることがなかった60年代初頭のNYのフォーク・シーンを描いたことだ。
当時、反体制的で政治意識も強かったNYの先鋭的な若者達はヒット・チャートを賑わせるポップ・ソングではなく、地方に伝わる民謡やブルースなど民衆の歌=フォーク・ソングを発掘して歌うことで、自分達のルーツを見直して新しい音楽シーンを作ろうとした。そうした動きは〈フォーク・リヴァイバル〉と呼ばれ、日本の音楽シーンにも影響を与えることになる。
また当時は、ジャック・ケルアックに代表される、ジャズと詩に人生を捧げて自由に生きようとするビートニク運動も若者達に強い影響を与えていたが、優等生的なフォーク・ファンと不良なビートニクは反目しあっていた。映画ではシカゴに向かう車のなかで、ジャズ・ミュージシャンらしきローランド・ターナー(ジョン・グッドマン)といかにもビートニクなジョニー・ファイヴ(ギャレット・ヘドランド)がルーウィンに冷たい態度をとるが、そこにはフォークとビートニクの微妙な関係がさりげなく描かれている。

また本作はデイヴ・ヴァン・ロンクの回想録「The Mayor of Macdougal Street」を下敷きにしているだけあって、ルーウィン以外にも実在した人物をモデルにした登場人物が登場する。例えばシカゴでルーウィンがオーディションを受けるバド・グロスマンのモデルは、ボブ・ディランやジャニス・ジョプリンを世に出した大物マネージャー、アルバート・グロスマン。
彼がルーウィンを誘う男女トリオは後に人気グループとなるピーター・ポール&マリーのことで、これは実際にあった話だ。そのほか、ルーウィンが歌っているガスライト・カフェはロンクが根城にしたコーヒーハウスと同じ名前で、ルーウィンがグロスマンに見せる自分のレコードもロンクのアルバム『インサイド・ディヴ・ヴァン・ロンク』と同じデザインというこだわりよう。そのほかにも音楽ファンを唸らせる細かいネタが、映画にはたっぷりと散りばめられている。

(プレス資料より転載)

 


 

 









■監督・脚本:ジョエル&イーサン・コーエン

 アメリカ、ミネソタ州出身。1954年生まれのジョエルと57年生まれのイーサンの兄弟で活動する監督・脚本家・プロデューサー。
大学教授の両親の元に生まれ少年時代8mmカメラを使い兄弟でテレビ映画の真似事を始める。兄のジョエルはニューヨーク大学を卒業後、サム・ライミ監督と知り合い、彼が監督した『死霊のはらわた』(81)の編集助手でキャリアをスタートさせる。
同じころプリンストン大学を卒業した弟イーサンがジョエルの元を訪れ、共同で脚本の執筆を開始。処女作『ブラッド・シンプル』(84)が絶賛され、続く『バートン・フィンク』(91)でカンヌ国際映画祭パルム・ドールと監督賞を受賞。

主な作品には、『ファーゴ』(96)カンヌ国際映画祭、監督賞、アカデミー賞で脚本賞を受賞。『バーバー』(01)カンヌ国際映画祭監督賞を受賞。『ノーカントリー』(07)アカデミー賞作品賞、監督賞、脚色賞、助演男優賞を受賞。
『トゥルー・グリッド』(10)、『赤ちゃん泥棒』 (87)、『ミラーズ・クロッシング』 (90)、『未来は今』 (94)、『ビッグ・リボウスキ』 (98)、『オー・ブラザー!』 (00)、『ディボース・ショウ』 (03)などがある。




■スタッフ
監督・脚本::シ?ョエル・コーエン、イーサン・コーエン 
撮影:ブリュノ・デルボネル
美術:ジェス・ゴンコール
舞台美術:スーザン・ボード・タイソン
衣装:メアリー・ゾフレス
編集:ロデリック・ジェインズ
メイク:ニッキー・レダーマン
ヘアメイク:マイケル・クリストン
エグゼクティブ 音楽プロデューサー: T・ボーン・バーネット
アシスタント 音楽プロデューサー:マーカス・マムフォード
プロデューサー: スコット・ルーディン


     

 

 

   


■オフィシャルサイト
www.insidellewyndavis.jp
(C)Photo by Alison Rosa (C)2012 Long Strange Trip LLC 
原題:Inside Llewyn Davis
2013/アメリカ/104分/カラー/英語/ビスタ/5.1ch 
日本語字幕:石田泰子
配給:ロングライ